今回は、2017-18AW新作であり、パリ展でも好評を博したEG FINE BLENDED CASHMERE ミラノリブ のニッターさんである[紀南メリヤス]さんと、染色加工整理をお願いした[本多染工]さんです。
どちらも国内はもとより海外のビッグメゾンから名指しで依頼がくるような技術をもった工場さんです。
[紀南メリヤス]さんは1930年創業。和歌山に編み工場をもつニッターさんです。
80年かけて培った技術から生み出される編地は、細かい風合いのリクエストにも応えてくれます。
どちらかというとカジュアル目の生地が得意で、欧州ビッグメゾンからの信頼も厚いです。
こうやって眺める丸編み機の姿は圧巻です。一台一台ビニールシートで仕切り、外からの異素材糸や異色糸、ホコリの混入を防いでいます。
[本多染工]さんは葛飾区に加工所をもつ、都内では珍しい染色加工整理の工場さんです。
昔は都内にも数多くの加工所さんがあったと聞いていますが、今は数えるほどしか残っていません。
その中でも今も活気をもって(最も活気があるのは社長の本多さんが醸し出すオーラかと)稼働されている工場さんです。
キレイに整えられた加工所内
生地の水洗い中です。よく見ないと分かりませんが、円筒に編まれた生地の内部に下部から空気を飛ばしながら洗っています。後のセットの安定化や簡易化にかなり重要だそう。
こちらはバイオ加工中
生地の乾燥機が何種類もあり、求める風合いによって乾燥機を使い分けています。「この乾燥機とあっちの乾燥機の違いが分かるか!?良く見てみろ!」と本多社長に力強くプチクイズを出されますが見た目では全く分かりませんでした。。。精進します。。。
温度管理もしっかりした色の調合現場
今時珍しい、ウール高混率のニットの製品染めを出来る釜
本多さんは元々こちらが本業だったとのこと。ウール混の素材の風合い出しには定評がある訳です。
本多さんは地方の大規模工場のような規模ではなく、釜や乾燥機も多くはありませんが、細かく種類が豊富で、本当に微妙すぎる風合いの違いに拘って加工をしているのが良く分かりました。
柔軟系の加工も長持ちしないと意味がないと、試行錯誤を重ねながら今の樹脂系の加工レベルにいきついたとのことです。
よくある家庭用洗濯に用いる柔軟剤に毛が生えたような柔軟加工ではなく、より心地よい風合いを長持ちさせる溶剤はとても取り扱いが難しいとのこと。
着こんでいって初めてその良さが分かります。
恒例の生産背景紹介シリーズ、如何でしたでしょうか?
一点だけお断りしておきたいのは、こうやってご紹介出来る高いレベルの生産背景で作っているから良い生地なんです!!と言いたいわけではありません。
なんとなく日々商品を着こんでいくうちに、生地に由来する着心地の良さが続くけど何でだろう??なんて思って下さった時の「答え合わせ」として、こういった紹介はこれからも続けていきたいと思っています。
無論、このような生地を商品にしたいと思って頂いた業界関係者様から、こんな高い技術をもった工場さんに少しでも良いオーダーが入っていくような循環が出来ていけばとも考えております。